Report on the Eco-consious Community Genki Grand Awards
「eco japan cup 〜ライフスタイル部門〜」 連携
「市民が創る環境のまち”元気大賞”2012」
佐渡島加茂湖水系再生研究所(新潟県佐渡市)
佐渡島加茂湖水系再生研究所(通称:カモケン)は、トキの生息域となっている佐渡島・加茂湖の入り江「こごめのいり」の再生に取り組んでいる。加茂湖の湖岸はほとんどが鋼板矢板とコンクリートで護岸されてしまい、水循環の悪化や豊かなヨシ原の消滅による生物多様性の低下が問題となっていた。
カモケンは、株式会社ブリヂストンと早稲田大学との産学連携環境プロジェクトであるW-BRIDGEの支援を受け、地域が主体となって再生計画の立案、維持管理、自然資源の利活用ができるように、子どもたちを含む地域の人々とともに検討し、また、具体的な湖の再生活動への参加・協働を進めた。ヨシ原の整備工事では、地域住民、専門家、地元建設業者や行政との連携のもとに、「市民工事」を行った。その結果、こごめのいりでは、徐々にヨシ原が広がり、多くの人が集う豊かな水辺環境が実現しつつある。
「市民が創る環境のまち”元気大賞”2012」
特定非営利活動法人 ブリッジ エーシア ジャパン(東京都)
ブリッジ エーシア ジャパンは子どもたちを対象とした環境教育や、農家と組んでリサイクル農業による生計向上に取り組んでいる。たとえば子どもたちは買い物のあとで何がゴミになっているかを調べ、食べ物を葉っぱで包めば、ビニールは不要だと気がついた。また、ホーチミン市の子どもたちがフエの農家とインターネットで交流し、農家がオンラインで子どもたちの質問に答えるという環境ワークショップも行っている。
悪臭や水質汚染の原因となる家畜糞尿を処理するタンクを13世帯に建設し、発酵させることで家庭燃料に変える取り組みも行っている。養豚作業の軽減と同時に液肥を採ることができるようになり、さらに農家同士をつなぐネットワークもできた。このネットワークは、豚の餌の協同購入・子豚の売買にもつながっている。
こうしたフエ市の農家の取り組みを地図にした観光エコマップを町に設置し、観光客や市民に地域資源を再確認してもらうことにつなげている。
「市民が創る環境のまち”元気大賞”2012」
藤野電力(神奈川県)
20年以上前から放棄されていたソーラーパネル約170枚を譲り受ける機会を得、それを使って旧牧郷小学校(現在は牧郷ラボとして地元在住のアーティストたちの活動拠点になっている)の電力を100%自家発電により賄うプロジェクトを立ち上げた。システム設計から施工まで、すべて地域の仲間で協力しあい、情熱とDIY精神で取り組んでいる。施設を単に自給するだけではなく、地域の防災拠点や新たなコミュニティ拠点として機能することを目指している。
「市民が創る環境のまち”元気大賞”2012」
特定非営利活動法人 国頭ツーリズム協会(沖縄県)
世界的にも生物多様性豊かな国頭村「やんばるの森」にある2本の水路橋を持つ水路と海が眺望できる棚田は、宇嘉地区の自慢の資源であり誇りの土木技術だった。20年以上前に管理が放棄され、崖崩れなどで泥に埋まっていたが、村内で再生可能な状態を保っていたのは宇嘉地区のみだった。「国頭村地域森林ゾーニング計画」の基礎資料調査を東京工業大学の助言で行ったところ、文化的・土木技術遺産的価値が再認識され、2011年より悲願の水路再生を様々な参加者によって実現。翌年には水路の水を利用して棚田を復元した。
水路散策と田植えを体験するイベントは地方紙やテレビでとりあげられ、棚田再生に協力の声も。この取り組みは、2010年より(株)ブリヂストンと早稲田大学との産学連携環境プロジェクトであるW-BRIDGEの支援を受け活動を発展させ、地域、大学、企業をつなぐ活動の意義を鮮明にした。
「市民が創る環境のまち”元気大賞”2012」
守谷あんしんお散歩プロジェクト(茨城県)
茨城県守谷市で原発事故で増加した放射線量により自治体や住民同士の様々な対立や混乱を巻き起こしたことに対して、守谷あんしんお散歩プロジェクトは、事実を正しく見つめ、立場の違いを乗り越えて対話を進めた。測定専門家からアドバイスを受け、週末には線量計を持ち、呼びかけに応じた市民有志と市内の「お散歩(線量計測)」を実践。心配で声をかけてくる地域の方も多く、その場で時間をかけて現状を説明。
遂には「お散歩会」と称して市民だけでなく大学教授、市・県会議員、市職員が一緒に歩くまでに。測ったデータは大学の授業でも取り上げられ、データを元に総勢100名での幼稚園園庭の除染作業や市から物資サポートを受けた通学路の除染作業、研究者との除染実証試験、市民向け現状説明会と多岐にわたるようになった。そしてひとりの市民、ひとつの団体ではできないことを、様々な人や団体と理解し合いながら今は地域ぐるみで実現している。